私たちは「言葉」でものを考えます。映像や音でものを考えることはできません。だから、国語はすべての勉強のベースとなる大切な科目です。中学の国語は、読書ノートを書くことから始まります。友達にこの本はココが面白かったよ!って、紹介文を書きます。読書は国語の基本。その輪をみんなで共有することから始めるわけです。そして、新聞記事を三つの文章でまとめる「朝読解」があります。これは中高6ヵ年週一回、HRで行う授業ですが、高校卒業時には2000字の小論文とそれに相当するプレゼンテーションを行える能力を下支えする学習です。書くことに慣れることを中学時代に身につけてもらいたいと思っています。
全校生徒がホームルームの時間に行う「朝読解」では、新聞の社説や署名記事を序論・本論・結論の3つの文に要約します。読む力を書く力へとつなげる取り組みです。読解力をつけ、文章の構造を学習し、読み取った情報を自分の言葉で再構築する力や思考を整理する力を養います。
中学二年生では、太宰治の「走れメロス」を学習します。太宰治は高名な文学者であり、その文章は時代を超えて語り継がれています。能動的学習として、創造力と想像力を高め「その後の物語を創作する」という取り組みを実施しています。
羊飼いのメロスは、ディオニス王の暴政に接し、激怒します。しかし、捕らえられて荷物の中の短刀を見つけられ、死刑宣告を受けます。メロスは「命乞いなど決してしない」が、妹の結婚式を済ませたいので「処刑までに三日間の日限」をと懇願します。メロスは親友セリヌンティウスを人質として置き、自分が帰って来なければ、彼を殺せと提案し、ようやく受諾されました。その後、メロスに三つの邪魔が入ります。一つは川の氾濫による橋の流失。二つ目は山賊の襲来。三つ目は灼熱の太陽です。度重なる不運に出遭って疲労困憊しながらも日没直前、セリヌンティウスの処刑寸前にメロスは到着し、執行を中止させることができました。これを見た王は敗北を認め、自分も「仲間の一人にしてほしい」と言い、信実と正義の勝利によって物語は収束をむかえます。
その後のメロスのストーリーを創造する意味で「創」段落と名付け、各自作成します。iPadを使用し、歴史的背景や言葉遣いを調べ、太宰治の文体に近づけながら、創造力を育成していきます。また、毎時実施している漢字小テストで学習した熟語を入れて、文章力を向上させることも狙いの一つです。学習と発展を繋げて、生徒の総合的視点や多角的視点の向上を促すことを目的としています。
数学で大切なのは、自ら問題を解決しようとする力と、ものの考え方を式にして表す論理的思考力です。授業では、この2つの力を育むことを目標に展開しています。また、実験やグループ学習を取り入れ、その過程で定理や公式の本質を見抜き、数学を道具として現実的な問題を解決できること実感してもらいます。中1・2は、クラス単位で授業を実施。基礎力を養い、特に必要とされる生徒には週1時間の指名制の補習を設け、学力の定着を図ります。中3は、習熟度別の分割授業を実施し、基礎の定着と発展的内容を扱い、高校数学に繋げています。
週2回、朝のSHRの時間を利用して5分程度の計算テストを行っています。基礎的な計算力の定着を図ります。得点の記録は各クラス担任が行っていますので、授業担当者だけでなく、クラス担任も生徒の理解度を確認し、指導しています。
確率の授業では、サイコロ投げの実験やビュフォンの針の実験を行い、理論値と実測値がほぼ一致することを確認します。また、相似の授業では、身の回りの「白銀比シート」を用いて白銀比の捜索などを行います。週5時間のゆとりあるカリキュラム編成のため実現できることです。
中学1・2年生はクラス単位で授業を実施。令和2年度入学生より、東京学芸大学付属国際中等教育学校の「TGUISS 数学」をサブテキストとして用い、思考力の向上に努めています。
「楽しくなくっちゃ英語じゃない」をモットーに4技能をバランスよく伸ばしています。「話す・書く・読む・聴く」4技能を向上させるためには英語学習が楽しいと思えることが大切です。授業では、東京女子学園英語科のオリジナルテキスト"World Study"やタブレットをフル活用するなど、自然と英語が話せるようになるプログラムを展開しています。また、英語のスキル習得に留まらず、英語を使って異文化を学んだり、プレゼンテーションをするなど、英語をトリガーとして、思考力・判断力・自己表現力を養います。さらに、自分とは異なる人々を理解し、自在にコミュニケートする言語能力を獲得することが最終目標です。
週に1回行われるWorld Studyの授業はネイティブ教員とのティームティーチングで行われます。本校オリジナルテキスト"World Study"を使用して、さまざまなトピックについて日本・世界のことを英語で理解し、自分の考えを持って自分の言葉で伝えられることを目標に、日常会話のトレーニングも兼ねた授業展開となっています。リスニング・ライティング活動はもちろん、クイズやゲームなど楽しむ要素を盛り込みながら知識もしっかり定着させていきます。また、感情を込めながら課題文を暗誦するレシテーションや、スピーキングテストも定期的に行い、4技能をバランスよく育てます。
中学校で学習すべき単語数は、約1,600〜1,800語。そのうち幾つの単語の意味を覚えていますか。ただ単に英語を読み、書き、聴いていた所で、全ての活動主体が教員であれば、生徒の中には「知っている」で終わってしまいます。英語が自分の言葉として使えるようにならなければ、記憶にとどまっているだけの暗記英語になってしまいます。そこで、英語の授業では教科書内の単語を選択し、その単語を使う状況を考え英文を作成します。どの国で誰と英語を使って話しているのかを創造し、その英文をタブレットで共有し、クラス全員で添削していきます。クラス全員が編集者になったつもりで教科書に載せるべき英文を選定しながら、生徒は英語を使って、英語を学んでいきます。生徒が作った英文を第2の教科書として、リーディング、スピーキング活動に生かしていきます。生徒主体で作り上げていったコンテンツを使って、生徒自身が「何を伝えていきたいのか」「何を伝えるべきなのか」を生徒作成の教科書という共通基準を元に、英語活用力と表現力を主体的に学びます。
中学社会では、地理・歴史・公民の基礎知識の定着を図ることを土台としつつ、幅広い分野を学ぶ中で自分の興味関心のある部分を掘り下げる探究活動も行なっています。例えば地歴分野では単元によって、関連するテーマをグループごとに決めて調べて発表、相互評価をしています。公民分野では授業内にディスカッションの時間を多く取り入れています。探究活動を通して、お互いの多様な考え・捉え方を共有することでより社会とつながる女性としての学びを深めています。
中学1年生の地理分野では世界の国々についてさまざまな角度から学びます。地図帳の統計資料から見える国や地域の比較に留まらず、インターネットの情報やグーグルアース、教員が現地で撮影してきた写真を駆使して、国や地域の特性を学んでいきます。その際、データや写真から読み取れることを教員が「教える」のではなく生徒自らが「気づく」ことを大切にしています。またジグソー法を取り入れて、生徒同士が「教え合う」ようにもしています。生徒同士で気づいたことをロイロノートで文章化して共有することで、学びを深めています。また歴史分野は古代から学習を進めていきますが、地理分野の学習とリンクさせて、地図帳も使いながら自然環境や地形が歴史事象とどう関係しているのかも考えるようにしています。このように地歴分野では時空を超えて社会とつながることを意識した授業を展開しています。
地理分野では「国際協力に関する日本の取り組みについて」、歴史分野では「江戸時代の生活から現代人が学ぶことについて」など大テーマに沿って、グループごとに小テーマを設定して調べ学習を展開、タブレットのプレゼンテーションツールを使って発表を行う探究活動を取り入れています。探究活動では、図書室の本やICTツールを使った調べ学習に留まらず、JICA地球ひろばのワークショップに参加したり、都内の史跡巡り・深川江戸資料館の見学をしたりなど、体験学習や実地調査もしています。
公民分野では弁護士会の協力を得て「模擬裁判」を実施していますが、こちらも事前に裁判傍聴に赴き、弁護人・検察官・裁判官・裁判員の役割について肌で感じ、自分ゴトとして模擬裁判に臨むことで、司法の在り方についての学びを深めています。
小さい頃の目につくものすべてが不思議で、なんでなんで?と疑問に思い保護者を困らせるあの感覚を、東京女子学園の理科では大切にしています。興味関心を引きつけやすい理科Ⅱから授業をスタートさせます。一人一人の好奇心を大事にし、事象を確認するため、新しいことを見つけるために実験をします。そして、その結果を学びに生かすのはもちろんのこと、人生や社会にどのように生かすことが出来るのかを考えていきます。
導入の時間で、水圧や浮力の理論的な考え方を数式を使って確認します。一般には、力や圧力の単位に、[N]、[Pa]を使いますが、ここでは敢えて[gw]、[gw/㎠]を使い、単位計算に気を取られないようにしました。水圧の単位を[gw/㎠]にするとその値は水深[㎝]と同じ値で、浮力の単位を[gw]にするとその値は水中の物体の体積[㎤]と同じ値で表せるので、生徒たちは実験をしたときに感覚的に捉えやすくなります。この実験を通して、水圧と水深の関係とアルキメデスの原理を、実体験として理解が深まります。写真1が水圧実験、写真2が浮力の実験です。
豚の眼球解剖と肺などの臓器の構造を観察します。本物に触れることで生命の仕組みや神秘を肌で感じ、命の価値や尊さを学びます。ただ単に解剖・観察を行うのではなく、生徒同士や生徒と教員がそれぞれの考えを話し合うことを大切にしながら授業が進められています。
グループや学年で協力しながら、工夫して音楽を作り上げることを学びます。合唱や合奏を発表する機会を持ち、演奏技術を身につけるとともに、主体的な音楽活動を行います。また、さまざまな音楽を鑑賞し、その作品について関心を持ったことを調べます。与えられた教材だけではなく、自ら世界を広げていきます。
アプリを使用して、音楽を形づくっている要素を学びます。アプリ内にあるたくさんの楽器の中から音色を選び、合奏曲を録音します。パートの役割に合った音色、フレーズ、テクスチュア、形式など曲全体をよく聴き考え、バランスの取れた音楽を創作していきます。また、童謡のメロディーを変奏したり、自分でメロディーを作ったりして、アプリを使いこなし表現力をつけていきます。
西洋音楽だけではなく、日本の伝統音楽も学びます。教科書で邦楽についての知識を得て、作法室にて実際に箏を弾いてみます。礼法で学んだ和室での礼儀作法を活かし、美しい姿勢と落ち着いた心で箏に向かい、凛とした音色を楽しみます。初めて箏を弾く生徒がほとんどですが、集中して取り組み、曲が弾けるようになります。
生徒の感性を最大限に引き出す、特色ある美術教育を展開しています。重視しているのは「対話」。先生や友人、自分自身との対話を通じて「表現したい!」という感性が磨かれ、表現する力が育まれていきます。対話を通じて育まれた「感性」のアンテナは、日々いたるところで張り巡らされるようになり、一人ひとりの興味関心の対象を広げていきます。美に対する感性を養うだけではなく、アンテナから感じ取ったものを表現し、自分の考えを伝えるプレゼンテーション力も身につけていきます。
象形文字としての漢字の成り立ちや魅力を再認識する授業です。漢字が持つ意味をより強めたり、漢字の持つ魅力やユーモアを引き出すため、文字を変形したり、字の一部をイラストにして表現します。先生や友人との対話を繰り返し、それぞれのアイデアを提案し合ううちに、思いがけない発想が生まれます。
さまざまな紙を利用した立体作品など材料・素材の特性を理解し、表現の幅を広げる授業を展開しています。意図や目的にあった表現方法、適切な材料・道具選び、完成までの行程を大切に考えて、個性的な作品づくりを目標としています。
保健体育では、生涯を通して健康で安全な生活を送るための基礎を養い、心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成します。「何を理解し、何ができるか」「理解したこと・できることをどのように活用するか」「どのように他者と関わり・自分と向き合うか」ということを保健体育の知識・技能を身につけていく中で、思考・判断し、実際に行動することができるようにします。授業や行事を通して、体を動かす楽しさや喜びを味わい、仲間と交流しながら互いに協力し、自己の役割を果たすことによって、思いやりの心、チームに貢献する態度を育みます。また、目標を達成するための過程を大切にし、振り返りの中で自ら課題を見つけ、次のステップに取り組むことで自己の成長につなげていきます。
1年生では、ソフトバレーの基礎とゲームのルールを理解し、審判として正しい判断ができるよう学びます。2、3年生では、グループごとに目標を立て、仲間と協力しながら技術を磨き、自主的に練習を行います。その中で、あきらめずに「チャレンジ」することの大切さや、仲間と協力し合う「チームワーク」の大切さを学び、各チーム練習の成果を発揮し、最善を尽くします。
ダンスの授業を通して作品を学び、各学年、グループでコミュニケーションを取りながらダンスを作り発表します。その過程で、表現力と創造力を養います。
中学校では、実践的・体験的な学習を通して、生活に必要な基本的知識と技能をもとに、適切な意思決定ができるチカラを身に付けていきます。調理実習や被服製作の時間はできるだけ多く取るようにし、作る喜びや工夫する楽しさ、生活に役立つことを実感してもらいます。そして自分のチカラで問題を解決する機会を多く設けています。
よりよい生活とは何か、どうすれば近づけるか、「なぜ」「どうして」そうなるかを考え、行動するとともに社会のさまざまな課題を発見し、問題解決能力を高めていくことを目標としています。
包丁の持ち方や野菜の切り方、計量の仕方など基本から学びます。洋菓子や和菓子などの菓子類、そして和洋中の料理まで幅広く実習します。また、栽培領域の授業で栽培した食材を使って、調理実習をおこないます。実習後はルーブリック評価表を用いて振り返りをし、次回に活かせるようにします。作業を分担、協力して作り、一緒に食べることで、喜びや楽しさ、感謝の心を育て次へのチャレンジにつながります。
手縫いでは、日本の伝統的刺しゅう「刺し子」について学び、花ふきんを作ります。ミシンの実習では、一人一台ミシンを使用し、ハーフパンツの製作をおこないます。また、エコキャップを使用した小物作りや、着なくなった衣服をリメイクし(例えばTシャツでエコバッグを作るなど)資源や環境に配慮した実習を取り入れています。