時代の変化に対応できる人間とは、どのような人物なのでしょうか。この問いに対する答えは、答える人によってさまざまであると思います。一人ひとり異なる答えを抱いているとしても、おそらく言えることは、ひとりで生きていくわけではなく、誰かと“どこかで”生きていくということだと思います。
東京女子学園は、〈未来からの留学生〉である一人ひとりの生徒と一緒に、この問いについて考えていきます。“Sometime, Somewhere”(いつか・どこかで)ではなく、“Anytime, Anywhere”(いつでも・どこでも)、自分の人生を“肯定”できることで、“地球思考”を持ちながら世界のあらゆる人とのつながりを大切に感じ、自分らしく、豊かで、より善い人生を自ら切り拓いていくことができる女性(ひと)の育成を、これまでも/これからもめざして邁進していきます。
創立者代表 棚橋 一郎
初代校長 棚橋 絢子
明治時代、女性が学ぶことができる学校は少なく、裁縫や稽古ごとが中心の教育でした。日本社会の近代化に伴い、日本の将来を見据えた創立者たちは、女性が近代社会で、活躍することの重要性を痛感し、「社会の各分野で活躍する有能な女性(ひと)の育成と、これからの時代にふさわしい能力と見識を持ち、知性と教養を身につけた女性(ひと)の教育が必要である」として東京府下で初めて設置された普通科の私立高等女学校です。
1903年(明治36年)に東京女子学園の象徴として「梅花」を校章として定められました。梅は極寒の冬の厳しさに耐えて、多くの花に先駆けて花を咲かせ、凛とした趣の中に、気品に満ちた香りと清純さを持ち、ゆかしさと強さを秘めています。一人ひとりがこのようにあってほしいという願いが込められています。
一
好文木と名におへる
梅はわれらが学校の
しるしと仰ぐ花なるぞ
進みゆく世におくれじと
よろづの花に先立ちて
文読む窓にかをるなり
二
花の咲く木は多けれど
色さへ香さへその実さへ
すぐれしものはなにかある
あしたの霜や夜の雪
堪え忍びてしかひありて
誉れは高し梅の花
三
教への庭に降りたちて
この花かざすをとめ子よ
学びの道にいそしみて
知識をみがき徳をつみ
しるしの梅の香ににほふ
人の中なる人となれ
[現代語訳]
一
「好文木」の異名を持っている
梅の花は、私たちの学校の
象徴として大切にしている花です。
日々進歩していく時代にあって、
世の中の流れに後れまいとして、
さまざまな花の中でも梅の花は、
いち早く勉学にいそしむ人の身近に
香を届けます。
二
花を咲かせる木は数多くありますが、
色、香り、そしてその実までも
優れている花が、梅のほかにあるでしょうか。
(いえ、梅以外にはありません。)
早朝の霜の中で、また凍てつく夜の雪の中で、
春の訪れをじっと堪え忍び、
その甲斐あって咲くのは、
誉れ高き梅の花。
三
この学舎にあって、
この梅の花をかざす少女たちよ!
学問の道をおろそかにせず、
さらなる知識を身につけ、
人としての徳を積み重ねよう!
梅の香が人びとの心にとどくように、
私たちは、人として誠実に、
凛とした生き方をしよう!